NHK『ディープオーシャン 幻のシーラカンス王国』

半分くらい家事をしながらでしたが、NHKのBSで放送していた

シーラカンスの番組を見ました。

NHKは基本的に騒がしくないのが良くて、ドキュメンタリーなど

よく見ています。

“生きた化石”と呼ばれるシーラカンス。

4億年前の太古の昔から今まで、その姿をほとんど変えずに生き残っている

幻の深海魚。

化石として見つかったり、魚拓をテレビか何かで見たことがあるためか、

”今この瞬間に生きている”という実感を持てずにいました。

実際生きたシーラカンスを見た人もほとんどいないようです。

今回の放送は、シーラカンスが棲息していると見られる

インドネシアの深海に潜水艇で潜り、シーラカンスの生態を探る

国際共同制作の番組。

水深160メートルを過ぎたあたりで1匹のシーラカンスを発見し、

その後をゆっくりと注意深く追っていくと、観察して39時間くらい経って

ようやく動き出し、仲間7匹がいる岩陰へ。

シーラカンスが泳ぐ姿を見たのも、体の構造をじっくり見たのも

初めてでした。

とにかくゆっくり、ほとんど移動もしないで、11個(だったかな)のヒレを

使い、ひらひらと漂っている。

シーラカンスには、胴体からそのまま伸びているような”肉鰭(にくき)”と

呼ばれる腕みたいなヒレがあることも今回初めて知りました。

速く泳ぐ感じもしないので、あの肉鰭は何のためにあるのか不思議です。

頭に関節があって大きく口を開ける事もできるようですが、

その口で何を食べるんだろう。

シーラカンスは100年くらいは生きるようです。

1匹で悠々と泳いでいるイメージしかなかったので、

100年間孤独に暮らしているのを想像すると少し寂しい気が

していましたが、今回他の仲間と群れている映像を見て、

少しほっとしたような気持ちになりました。

オスとメスの区別について、今回プロジェクトに参加していた研究者が

話していましたが、それすらも推測の域を出ないようですし、

番組で観察していた72時間、シーラカンスは食べることも排泄もせず、

その生態は謎に包まれています。

ふだんの生活の中で、自分の身の回りに起こる物事に一喜一憂したり、

どこかの国の大統領の発言が気になったり、ほとんどの時間、

自分を含む人間の営みに目を向けているけど、今この瞬間も、

どこかの深い海でシーラカンスが生きていて、悠然と泳いでいると思うと、

違った時間の流れ方を感じられて、深呼吸できるような気がします。